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脳血管内治療

脳血管内治療

頭の骨を開くことなく、カテーテルと呼ばれる細いチューブを血管の中から頭蓋内に進め脳血管の治療を行うことを「脳血管内治療」といいます。通常、足の付け根の動脈や静脈からカテーテルを入れます(図1)。カテーテルから造影剤を注入してレントゲン撮影すると血管が映し出されます。これをみながらカテーテルを進めていきます。

この治療の最大の長所は、患者さんにとって侵襲度が少なく、肉体的ストレスが軽い、という点です。脳神経外科学会ホームページ(http://square.umin.ac.jp/neuroinf/cure/005.html)もご参照ください。

未破裂脳動脈瘤

脳動脈瘤の破裂を防ぐためには、動脈瘤そのものに血流が通わないようにすることが必要です。血管内治療では動脈瘤の中に細くて柔らかいプラチナ製のコイルを留置して瘤の中を充填(コイリング)します。当院では開頭手術(クリッピング)も血管内治療(コイリング)も両方可能な脳動脈瘤の場合、血管内治療を優先しています。

未破裂脳動脈瘤1 未破裂脳動脈瘤2

上図のように瘤の根元がすぼまってくびれがある(瘤頚部が狭い)場合はコイリングに適しています。細く柔らかいカテーテルを瘤内に誘導しコイルを充填します。またある程度頚部が広いものでも2本のカテーテルからコイルを出して絡ませるようにしたり、風船つきのカテーテルで出口をふさぐことでコイルが正常血管に飛び出さないように入れることができます。

未破裂脳動脈瘤3 未破裂脳動脈瘤4

また最近ではステントという金属でできた網目状の筒を留置してコイルを詰める方法もあります。ステントは半永久的に留置したままとなります。さらに、網目の小さい特殊なステント(フローダイバーター)ではコイルを入れなくてもステントをおくだけで治癒できるといわれています。瘤の形状や場所、患者さんの年齢などを総合的に検討し方針を決めています。

未破裂脳動脈瘤5  

頚動脈ステント留置術

動脈硬化により頚動脈が狭窄することがあります。狭窄の度合いが高度になると脳梗塞になってしまいます。十分な内科的治療(薬物治療)を行っても脳梗塞のリスクが高いと考えられる場合には狭窄部を広げる治療が勧められます。その方法としては直達切開手術(頚動脈内膜剥離術)と血管内治療(頚動脈ステント留置術)の2つがありますが、当院ではまず血管内治療を検討します。

方法

一般的には局所麻酔で行われます。足の付け根(大腿動脈)から狭窄部位にかけてワイヤーを通しますが、その先端には風船(バルーン)あるいはフィルターがついたものを用いることにより、後で狭窄部位を広げた際に飛び散ることが予想される血管壁にある「ゴミ」(プラーク)が脳内に飛散するのを防ぎます。狭窄部位を風船(バルーン)で広げ、その後にステントが格納されたカテーテルを誘導してこれを留置します。拡張が十分でなかった場合にはもう一度バルーンで残った狭窄を広げることもあります。治療終了後は足の付け根から入れていた管を抜いて治療は終了です。多くの場合治療時間は1時間程度です。治療後は数時間の安静時間のみで十分であり、数時間後からは食事、歩行可能です。特に問題なければ治療後一週間以内に退院となります。

頚動脈ステント留置術1 頚動脈ステント留置術2 頚動脈ステント留置術3

経皮的血栓回収術

主には心房細動という不整脈によって心臓内で血流のよどみが生じさらには血の固まり(血栓)が形成され、これが脳血管に流れてきて脳血管を詰めてしまうことがあります(脳塞栓症)。発症から4.5時間以内では血栓溶解薬(t-PA)の点滴による治療が最初に行われますが、残念ながら中枢側の血管閉塞では十分な治療効果が得られていません。このように血栓溶解薬が無効ないし適応外の場合にカテーテルで血栓を回収する方法が試みられ、最近の海外の治験によって有効性が証明されました。しかしながら日本では限られた施設でしかこの治療を受けられないのが現状です。当院では24時間、血管内治療専従医が待機し、積極的にこの治療を行っています。

経皮的血栓回収術1 血栓で閉塞された血管
経皮的血栓回収術2 マイクロカテーテルで血栓を貫通
経皮的血栓回収術3 ステントを展開
経皮的血栓回収術4 ステントの網で血栓を捕獲
経皮的血栓回収術5 血栓ごとステントを回収

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