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病院のご案内

膝・股関節の体に優しい最新治療

人工関節・膝関節機能再建センター センター長
村上 友彦 医師

昨年7月に開設された人工関節・膝関節機能再建センターは治療の選択肢を広げ、患者様一人ひとりにあった治療を行い、これまでに400件以上の手術を行っています。「人生100年時代をご自分の脚で生活するためにも、異常を感じたら早期に専門医にかかることが大切です」と言う村上先生に話を聞きました。

 変形性膝関節症の最新治療について

変形性膝関節症は半月板や靭帯の損傷、加齢により軟骨の弾性が失われ、膝の曲げ伸ばしが不自由になる疾患で、立ち上がる時に膝に痛みを感じ始めたら注意が必要です。軽度の場合は投薬や理学運動療法といった保存的療法を行いますが、痛みが継続し動作に支障の出る場合に行う主な3つの治療を次に紹介します。

①血液成分を用いた再生治療(PRP療法)
ご自身の血液から、損傷した組織を修復する働きのある血小板を凝縮したPRP液を精製して膝に注射で移植する治療で、採血から投与まで約15分で完了します。当センターでは、好中球成分が多いLR-PRP液を使用し、抗炎作用を高めており、数か月で効果を実感できます。費用は保険適用外のため約20万円かかります。
この治療を希望する患者様は月間10名程来られますが、症状を見極めることが重要で、治療効果は早期で80%、進行期は40~50%と低くなることや、基礎疾患や腰・股関節が悪い患者様には手術をお勧めしています。とは言っても、手術を躊躇されている方にはトライする価値はある治療です。

②膝周囲骨切り術
膝関節を温存し、O脚を改善するため脛骨を切って人工骨を入れて金属で固定して矯正する高位脛骨切り術、X脚を改善する大腿骨骨切り術、その両方を組み合わせたものなどを行います。術後可動域がよくなり、正座ができるようになり、重労働やスポーツに復帰できます。術後翌日から歩行を開始し、3週間前後には退院が可能です。

③人工関節部分置換術
中等度の変形までの方に適し、手術は約1時間で傷も小さく、1~2週間で退院できます。

変形性股関節症の最新治療

臼蓋(骨盤側)の発育が不良で小さく、大腿骨頭を十分に覆うことができない臼蓋形成不全症や、スポーツ等の怪我による股関節唇損傷、またアルコールの摂取過多などによる大腿骨頭壊死などが原因で発症します。治療は90%が人工関節置換術になります。当センターでは治療部位の切開を小さくし、筋肉を温存する等の最小侵襲術(MIS)を行っています。また、国内ではまだ15%の医療施設にしか導入されていないナナビゲーションシステムにより、難度の高い手術も正確に行っています。

急な痛みは要注意

1~2か月前から膝や腰が急に痛み出し、歩けない、前かがみになれない、しゃがめないなどの症状が出た場合は、急速破壊型の関節症が疑われますので、専門医を受診してください。