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病院のご案内

顔面けいれん・三叉神経痛

 

脳・脊髄・神経センター センター長 島野裕史 医師

顔の片側が意に反してゆがむ「顔面けいれん」、鼻や口の周辺が痛む「三叉神経痛」。どちらも「命にかかわる病気ではないから」と我慢したり、適切な治療を知らない方も多くいらっしゃいますが、専門医の診断を受け、手術をすることで85%以上の人が治癒します。島野医師に話を聞きました。

原因と症状

顔には筋肉をコントロールする「顔面神経」や、知覚などをつかさどる「三叉神経」がはりめぐらされています。それらが脳に繋がる脳幹近くで、血管に圧迫されることで、神経が異常な興奮を起こし、顔のゆがみや痛みを引き起します。血管が神経を圧迫するのは、血管の硬化などが考えられるため、この疾患は中高年に多くみられ、女性の方が若干多く発症します。
 顔面けいれんの初期症状は下まぶたあたりがピクピクし、次第に口角に広がります。ひどくなると顔の半分が歪み、目が開けられなくなります。症状は緊張した時に現れやすく、人と対面した時にけいれんが強まったりしたり、また運転中に目がふさがるなど危険な場合もあります。
 三叉神経痛は電撃痛と言われ、鼻や口のまわりに、ピリピリと電気が走ったような強い痛みが数秒から数分続きます。痛みは歯磨きや洗顔、食事などで誘発され、最終的には風に当たるだけで痛みが出るほどになります。
 三叉神経痛で気をつけなければならないのは、歯の痛み等と間違えることです。そのため、歯科や耳鼻科、ペインクリニックに行く人もおられますが、正しくは脳神経外科の疾患です。治療が遅れるほど痛みがひどくなるので、早い段階で専門医に受診することが必要です。

治療について

顔面けいれんも三叉神経痛も、有効な治療法は手術になります。けいれんや痛みのある側の耳の後ろの頭蓋骨に500円玉ほどの穴をあけて、そこから手術用顕微鏡を挿入し、圧迫している血管を神経から離し、血管が再び神経を圧迫しないよう周囲の組織に手術用ののりで接着します。
この手術は脳神経減圧術と呼ばれ、1970年代に始められた比較的新しい手術ですが、現在は標準的な手術になっており、世界的にも治療の第一選択になっています。手術の成功率は85%以上で、再発する確率は4~5%です。約10日の入院が必要ですが、手術翌日から食事もできます。
 また、既往症がある患者様や体力的に難しい高齢者の患者様には手術以外の治療を行います。顔面けいれんの場合は、けいれんする筋肉にボツリヌス毒素を注射するボトックス治療を行います。効き目は約3ヶ月なので、再治療が必要となります。三叉神経痛には服薬治療や、当院ではガンマナイフも受けることができます。

どの治療を選択するのか

治療した患者様の中には10年もの間、けいれんや痛みを我慢していた方がおられます。それは、顔面けいれんや三叉神経痛が、がんなどの命にかかわる病気ではないことから、手術をためらったり、専門ではない医師自身が手術に否定的であったり、また、患者様ご自身が手術をご存じでなかったからです。一方、手術で良くなった患者様は、身体的な痛みだけでなく、精神的苦痛からも解放されたとおっしゃいます。
 当センターではすべての治療を専門医が行っておりますが、まずは治療方法についてしっかり説明し、患者様に治療法を判断していただいた上で、ご希望に沿った治療を進めます。気になる方は脳神経外科を受診してください。診察は月曜日から金曜日までの午前9時から11時30分、紹介状は不要です。