
心臓血管センター 循環器科不整脈科 部長 吉谷和泰 医師
心臓に発生する異常な電気信号により起こる不整脈。不整脈の専門医である吉谷医師は「その不整脈がどれだけ危険か見分けることが大切です。とくに基礎心疾患を持っている方は危険リスクが高くなります」と話します。検査方法や治療について話を聞きました。
電気信号が発生する場所により心室性か心房性に分かれます。危険なのは心室性のもので、心室細動は頻拍を起こし、一時的に意識がなくなったりします。心房性のもので多いのが心房細動です。心臓が血液をうまく送り出すことができないために心房内に血液が滞留し、そこでできた血栓が脳血管に運ばれて脳梗塞を発症します。高齢者は心不全の原因にもなり、心房細動は 歳代の男性の約5%にみられるというデータもあります。
検査方法は心電図です。詳細なものは24時間心電図(ホルター心電図)ですが、近年は2週間心電図という検査法があり、これは器具を装着したまま入浴も可能です。検査時間を長くすることにより異常を見つけやすくなり、検出率は24時間心電図の約3倍も向上します。他に特殊なものとして、埋め込み型心電計もあり、意識消失発作を起こすような危険な不整脈の検出に有効です。
また、最近ではアップルウオッチでの心電図検査が学会でも注目され、ガイドラインにも取り上げられています。
さて、動悸や息切れを感じる方、あるいは無症状の方も、検査をして危険がない場合は、治療しません。しかし、危険と診断された場合はカテーテルアブレーションという治療を行います。両足の付け根からカテーテル(管)を大静脈に入れて心臓まで導き、次に治療用カテーテルを挿入し、不整脈を発生させている肺静脈部分の心筋を焼灼し、異常な電気信号を遮断します。全身麻酔に近い状態で行い、約2時間で治療は終了します。
最近ではアブレーションの方法も進化し、その一つが先端にバルーンをつけた治療用カテーテルを使い、血管内で膨らませて-60℃で冷やして心筋にダメージを与える方法で、治療時間を約1時間と短くなりますが、バルーンの大きさがまだ1つしかなく、オーダーメイドな治療ができません。
そこで当院では「ダイヤモンドカテーテル」を使って治療します。一般的なカテーテルアブレーションは先端にプラチナを用いて熱を伝導させますが、プラチナよりも熱伝導率の高いダイヤモンドを使い、手術時間を1時間に短縮することができます。この方法は1回で発作性心房細動の90%、持続性心房細動の70%を完治させることができます。
今後は肺静脈焼灼だけでは完治しない方の成功率を上げることのできるケミカルアブレーション(左上大静脈の遺残物であるマーシャル静脈にアルコールを注入し細胞障害を起こす手法)も取り入れていく予定です。これは関西でも数施設しか取り入れていません。
第一は飲酒を控えることです。宴会などの時だけ飲酒する「機会飲酒」もやめましょう。肥満やカフェインの取りすぎもよくありません。就寝中のいびきがひどい方も不整脈の疑いがあります。
予防には適度な運動も効果的です。息の上がらない程度のスポーツをお勧めします。
健康診断などで不整脈の疑いがあると言われている方、すでに診断されていて動悸や息切れ、意識が一瞬飛ぶなどでお困りの方はぜひ受診してください。
診察は毎週火曜日午前中に行っています。