
栄養サポートチーム (NST)竹原康介 医師
現在の日本には数えきれないほどの食品が出回り、食習慣や嗜好に合わせていろいろなものを口にすることができます。しかし、栄養過多や偏った食生活による糖尿病 、高血圧症 、脂質異常症(高脂血症)といった生活習慣病となる方が増加し、また高齢化や病気により食欲がない、うまく噛むことができない、 飲み込めない等の理由で、食事量の不足による栄養不良の状態に陥る方も増えています。特に入院している患者様の内、このような理由で約30〜50%の方は栄養不良であるとのデータもあります。病気や怪我を少しでも早く解消するためには、薬や手術などの専門的な治療はもちろんですが、栄養状態を良くすることも非常に大切なことです。なぜなら人間の身体の構成や、病気に対する免疫力などは、食べた物に含まれる成分の働きによって養われるものだからです。栄養状態が低下すると、病気や怪我が治りにくいだけでなく、感染症をおこす可能性が高くなったり、褥瘡(床ずれ)がおこりやすくなったりと、良くない状態に陥りやすくなります。
病気の種類や程度にかかわらず、適切な栄養管理は専門的な治療と同様に非常に大切なものです。そこで栄養管理に関する専門知識・技術を持ったさまざまな職種の人間が関与して、病院全体のチームとして患者様をサポートすることが求められるようになりました。それが栄養サポートチーム(Nutrition SupportTeamの頭文字をとりNSTと言います)です。NSTは患者様の栄養状態を総合的に判断し、治療の効果をさらに高めるために、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、言語聴覚士など多職種から構成されます。それぞれの職種が栄養療法における専門的な知識や技術を十分に活かしながら、入院患者様に対して質の高い栄養療法の提案を行っております。
病院に患者様が入院して来られますと、まず(看護師or管理栄養士)が、ご飯が食べられているか、体重は減ってきていないか、栄養状態はどうかなどの確認を行います。栄養障害の有無や程度を評価し、専門的な栄養療法が必要と判断されれば NSTが治療に参加します。NSTでは、年齢や身長・体重などから必要エネルギーを算出し、病気や怪我の程度や種類により炭水化物や脂質、蛋白質といった成分バランスを考え、食事の提案を行います。また噛むことができない方でしたら食事を全体的に軟らかくしたり、飲み込みが悪いような方でしたらトロミをつけたりと食事形態の工夫もおこないます。工夫をしても口からの摂取が出来ない方や、消化管(胃や腸など)の病気の方で通常の食事ができない状態であれば、点滴や経腸栄養などの提案を行います。経腸栄養とは消化管機能を利用しチューブを用いて栄養剤を投与する方法です。点滴だけで消化管を使わないと免疫力が落ちると言われており、病気や怪我も治りにくくなります。当院では、可能であれば出来るかぎり消化管を使った経腸栄養を提案しております。このように栄養管理が適切に行われているか、栄養・食事摂取量をチェックしつつ、問題点を検討して対策を講じ、患者様が早く良くなるようにと病院全体で取り組んでおります。