
理事長 黒岩 敏彦 医師
10月19日、LICはびきのホールMにて城山病院市民公開講座が開催され、多くの人が来場されました。そこで黒岩医師が認知症予防における脳ドックの重要性を話されました。超高齢化社会の今、認知症予防は多くの人の関心の的です。今回は、市民講座の内容を元に黒岩医師に話を聞きました。
超高齢化社会の日本では2025年には約720万人が認知症を患うと言われています。これは65歳以上の約20.6%で、5人に1人の割合になります。後程詳しく述べますが、認知症の原因の6割程度を占めるのがアルツハイマー病です。
1990年代にアルツハイマー病克服を掲げた米レーガン大統領は94年に自らこの病気であることを告白しました。その時の「今、私は人生の黄昏の旅に出ようとしています」という国民への別れの手紙は有名です。
残念ながら、このアルツハイマー病の治療は確立していません。しかし、進行を遅らせる新薬や、発症リスクを知り、予防することはできます。また、手術で治る認知症もあります。予防、早期発見・治療が大切です。
アルツハイマ―病
脳にアミロイドβとタウと呼ばれるたんぱく質がたまり、神経細胞に障害を与えます。
これに脳の萎縮や炎症、脳動脈硬化などの因子が複雑に重なって、物忘れ(記憶の障害)、できていたことができなくなる、認識機能の低下など認知症の症状が現れます。現在はまだ根本的な治療法はありませんが、今までの内服薬に加えてアミロイドβを脳内から流出させる新薬「レカネマブ」は、病気の進行を抑える効果があります。
慢性硬膜下血腫
打撲などが原因で脳の表面に血腫がたまり、脳を圧迫することで物忘れや言語障害などの症状が現れます。手術で治療ができます。
突発性正常圧水頭症
脳を保護する脳脊髄液が必要以上に増えて脳を圧迫し自発性が乏しく、歩行障害や尿失禁などの症状が現れます。この疾患も手術で治療することができます。
当院では目的別に脳ドックを行っています。
①脳ドック
脳血管障害、脳腫瘍などを発見します。中・高齢者や生活習慣病のある方、脳卒中や認知症の家族歴のある方にお勧めします。
②認知症リスクAI予測ドック
MRIによる脳画像データをAIソフトが解析し、萎縮の程度や強い部位、3年後に認知症を発症するリスクを算出します。あくまでも予測ですが予防の第一歩として有効です。
③認知症アミロイドPET CT検査
アルツハイマー病の原因物質のアミロイドβが脳内にたまっている程度を調べます。
④脳・認知症フルコース
②~④の脳ドック検査は半日がかりになりますが、今後、さらに手軽に行えるよう準備を進めています。
日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳を超えましたが、健康的に自立した生活を送れる期間である健康寿命は男性72歳、女性75歳と平均寿命と大きな差があります。
これは人生の終盤に何らかの健康上の問題を抱えて生活する期間が10年あると言うことです。近年の調査では日本で要介護状態になった原因の1位と2位は認知症と脳疾患が占めています。
当院は脳ドックによる脳疾患と認知症予防に力を入れています。万一、異常が疑われた場合も、経験豊富な専門医がいち早く治療を行います。不安に思われている方はぜひ、外来にてご相談ください。