
泌尿器科 副部長
堤 岳之 医師
7月17日に行われた第13回しろやま健康教室のテーマは「年のせいだと思っていませんか?その頻尿」でした。
この日は悪天候にもかかわらず大勢の方が参加されました。その内容を講師をされた堤医師に聞き、この紙面で伝えします。
「日中8回以上トイレに行く」ことを昼間頻尿、「夜間に1回以上トイレのために起きる」ことを夜間頻尿と言い治療が必要です。しかし、「夜間1回以上」というのは治療対象とは言えない場合もあり、実際問題となるのは「夜間2回以上の頻尿」となります。
夜間頻尿については著名なデータがあります。それは40歳以上で夜間トイレに行く人の割合を調べたもので、1回以上行く人は69%、2回以上の人は25%というものです。夜間頻尿は寝不足になるだけでなく、70歳以上の方の場合、トイレに行く際の転倒などで骨折するリスクが2倍になり、死亡率は1.9倍になるという報告があります。
健康に長生きするためにも頻尿治療は必要です。
①生活習慣に関連
ストレスや塩分過多、多飲、カフェイン、飲酒など。
②泌尿器科疾患
過活動膀胱、前立腺肥大症、膀胱炎、神経因性 膀胱など。
③泌尿器科以外の疾患
疾患骨盤臓器脱、糖尿病、高血圧、心不全、脳腫瘍、不眠症、睡眠時無呼吸、パーキンソン病など。
このように頻尿の原因は多岐に渡り、「年だから」と自己判断することは危険です。
過活動膀胱は多くの頻尿の原因となります。膀胱に尿が十分に溜まっていないのに、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮し、急にトイレに行きたくなり、間に合わずに漏らしてしまうこともあります。
これは加齢や前立腺肥大、また、脳卒中やパーキンソン病などの脳・脊髄の病気のため膀胱のコントロールが効かなくなることでも起こります。診断は過活動膀胱症状スコア(OABSS)を用い、治療は尿意をもよおしてもできるだけ我慢し膀胱の容量を広げる膀胱訓練と薬物 治療などがあります。
薬物治療には異常な膀胱収縮を抑制する抗コリン薬または、膀胱を弛緩させ容量を増大するβ3作動薬などがあり、どちらも高血圧の薬のように飲み続けなければなりません。
むやみに水分を制限することは危険です。水分摂取の目安は体重×20~25㎖と言われています。便秘や肥満は膀胱を圧迫し尿道を締める筋肉が緩んでしまうため要注意です。寒い場所や体を冷やさないこと、冬は寝室全体を暖かくすることをお勧めします。
また、ふくらはぎは第2の心臓と言われ、下半身の血液を心臓に戻すポンプの役割を果たしており、この働きが悪くなると心臓の機能が低下し体内の水分循環が悪化して水分を排出しようと利尿ホルモンが寝ている間に誘発され、夜間頻尿を引き起こします。
それを防ぐために弾性ストッキングの着用や、昼寝は脚を少し上げて30分以内にすることをお勧めします。
最後に、頻尿はオープンに話せない悩みかもしれませんが、気軽な気持ちで私たち専門医と話してみてください。隠れた疾患が見つかる可能性もあり、頻尿が改善することで生活の質が向上します。