
脳・脊髄・神経センター 副センター長
盛岡 潤 医師
11月1日、城山健康フェスタがLICはびきのにて開催されました。サムテックホールMでは「1分1秒がカギ!脳卒中治療の最前線」と題して盛岡医師が動画を交えて講演されました。脳卒中とは脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳動脈瘤が破裂するくも膜下出血が含まれ、非常に危険な疾患です。今回は講演の内容をお伝えします。
脳梗塞には脳血管自体の動脈硬化による脳血栓症と、他部位にできた血栓がとんできてつまってしまう脳塞栓症があります。後者の原因の多くは心房細動という不整脈で、これはこれまで心疾患がない方であっても年齢とともに気付かないうちになりうる病気です。脳動脈が閉塞しても完全に脳梗塞が完成してしまう前に治療できれば被害を最小限にくい止めることができます。
発症から4,5時間以内であれば血栓を溶かす薬を点滴し、また24時間以内であればカテーテルによる血栓回収術を行います。治療が早ければ早いほど症状の改善が期待できます。
治療には開頭手術(クリップ)と血管内治療(カテーテル治療)があります。今回はカテーテル治療について詳しくお話します。
(1)コイル塞栓術
カテーテルを使って血管内から動脈瘤内部をコイルと呼ばれる糸状の金属で詰める方法です。1997年に本邦で保険認可され、血管内治療の代名詞的な治療ではありますが、すべての動脈瘤に対応できるわけではなく、根元が広い瘤(広頚瘤)や血管が全周に渡って拡張するミノムシのような瘤(紡錘状瘤)には困難です。金属製の筒(ステント)を血管においてしまいこれを土台にしてコイルを詰める方法もありますが、それでも限界があります。
(2)フローダイバーター
フローダイバーターとは前述のコイル土台用ステントよりも目が細かくメッシュ状になったステントの一種です。広頚瘤、紡錘状瘤に対して考案された道具で日本では2015年から使えるようになりました。瘤内部ではなく瘤の根元の動脈内でこれをひろげて置いてくるだけの治療です。瘤に出入りする血液の速度や量が減っていき、ひいては瘤内部が血栓でかたまり、破裂しなくなります。
(3)WEB(Woven EndoBridge)
フローダイバーターでは治療が難しい血管分岐部の広頸瘤に対応するため、2020年12月から日本に導入された道具です。どんぐりのような形で表面が細かい網目の金属でできており、中空で、細いカテーテルのなかに収納することができます。瘤のサイズに応じたものを選択し瘤の中にカテーテルを誘導してWEBを展開します。コイル塞栓術に比較し極めて短時間で手術が終了します。
城山病院ではこれらの最新治療を含め、多くの血管内治療を手掛けております。また従来、脳血管内治療は股の血管を介して行うのが主流でしたが、最近は心臓カテーテル治療にならって手首の橈骨動脈から行うことが増えてきました。
当院でも患者様の負担を軽減すべく可能なかぎり手首からの治療を行うようにしております。