
副院長/脳・脊髄・神経センター長 島野 裕史 医師
顔に激痛が走る三叉神経痛、顔が歪む顔面けいれん。治療方法はいくつかありますが、城山病院では根治治療となる脳神経減圧術(微小血管減圧術 MVD)を行っています。
この手術による痛みやけいれんの完全消失率は80%以上と報告されていますが、手術を行うことのできる医療施設は多くありません。6月に脳神経減圧学会から専門的知識と手技をもつ「認定医師」に登録された島野医師に話を聞きました。
(1)薬物療法
てんかんにも使うカルバマゼピン(テグレトール)が有効ですが、痛みが進むにつれて薬の量を増やさなければならず、その副作用としてふらつきやアレルギー症状があらわれることがあります。
(2)脳神経減圧術
神経を圧迫する血管を神経から遠ざけることで圧迫を解除する手術です。全身麻酔の下、耳の後方の頭蓋骨に500円玉大の穴を開け、手術用顕微鏡で観察しながら、神経を圧迫している血管を遊離し固定します。
手術時間は約4時間で7~9日間の入院が必要になります。日本脳神経減圧術学会の報告では、完全痛み消失率は80.0%、合併症(聴力低下など)率は5.2%とされて います。
(3)ガンマナイフ治療
前述の脳神経減圧術ができない高齢者や既往症のある方に行います。放射線で三叉神経を照射し、痛みを緩和します。
顔全体に分布し、顔の筋肉を動かす顔面神経が血管などで圧迫されることで、顔の片側が勝手にぴくぴくとけいれんします。初期は下まぶた周辺にけいれんがあらわれるため、疲れ目と勘違いされやすいですが、けいれんは次第に強まりながら顔の下方に広まり、ひどくなると目が開けられなくなります。この疾患もMRI検査で診断します。
有効な薬物治療はなく、根治治療は脳神経減圧手術になります。けいれんの完全消失率は87.1%、合併症率は3.0%と報告されています。また一時的に顔面の筋肉を麻痺させ、けいれんを抑えるボトックス治療も当院で行っております。効果は約4か月で繰り返し治療しなければなりません。
これらの疾患は命にかかわるものではないため、手術を希望しない患者様も多くいらっしゃいますが、手術を受けた患者様は「こんなにすぐに楽になれるのなら、もっと早く手術を受けたらよかった」と言われます。顔の痛みやけいれんに悩んでおられる方は、ご相談ください。