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認知症看護認定看護師が活躍しています

認知症看護認定看護師
山﨑 史子さん

認知症看護認定看護師は緩和ケアなど分野に特定されている「認定看護師」の一つで、2006年に認定が開始されました。2021年 月現在、全国で2,014人が認定されていますが、まだまだ出会うことの少ない認知症看護のスペシャリストです。2年前にその資格を取得した山﨑看護師に話を聞きました。

 どんな活動をしていますか?

病気やケガ骨折などで入院されている認知症の患者様の声を拾い、安心して治療を受けて療養生活を送っていただき、ご自宅や地域の施設に帰っていただけるようお手伝いをしています。身体的苦痛を持った状態で、入院という急激な環境変化に適応しなければならない状況に置かれることで、認知症の患者様は混乱したり、ご自分の気持ちをうまく表現できなくなることがあります。落ち着かない気持ちの原因となる患者様の苦痛の要因を探って改善し、治療に専念していただくことが私の使命です。例えば、ある患者様はいつも「おなかが空いた」と訴えられ落ち着かない様子でした。その方の代謝にあった食事を提供していますが、量を少し増やすことを提案します。また、夜に熟睡できず、機嫌が悪くなられる患者様は、痛みが原因で眠れないのではないかと考え、薬の量をコントロールすることを提案することで、落ち着いて治療を受けてくださるようになりました。少しのことですが、こういった気づきと改善は、医師や看護師、リハビリ、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種でのチーム治療を行っているからできることです。認知症看護認定看護師の使命には現場スタッフへの指導もあり、チーム一丸となって円滑に治療ができる状態を構築することと、「こうすれば患者様が落ち着いて治療を受けてもらえた」という成功体験を増やすことが私の役目だと思っています。

 資格を取得した動機は何ですか?

以前、私は認知症の患者様との関わり方に難しさを感じていました。自宅のある地域のオレンジカフェ(認知症の方やその家族が集まり、情報を共有する場)にボランティアで関わったり、自分なりに勉強していましたが、うまくいかず悶々する毎日でした。そんな時に上司に「正しい知識を学んで他のスタッフと情報を共有してみてはどうか」と認定看護師教育課程で学ぶ機会を与えてもらえました。ちょうどコロナ禍の最中で、山梨県の大学最中で、山梨県の大学で約7か月間、缶詰め状態で学び、資格を取得しました。

 地域のネットワーク作りも大切

認知症の患者様が退院後、住み慣れた地域で引き続き生活できることが大切です。私は現在、入院患者様だけに対応していますが、本来は発症から終末期までの高齢者の心身状態を総合的に把握し、その時に応じた情報提供やケアの提案も役割と考えています。そのためにこちらの地域のオレンジカフェなどに今後も参加し、地域の方との繋がりも大切にしたいと思っています。また、この疾患を周囲にオープンにすることに抵抗を感じるご家庭も多いと感じます。本人と家族も地域と繋がりを持つことができるようなお手伝いも今後していきたいと思っています。水頭症など早期の発見と治療で治る認知症もあります。ぜひ、気になる方は専門医を受診してください。