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ダヴィンチ手術について ~新しい手術台を導入しました~

ロボット手術センター センター長
新田 敏勝 医師

城山病院は昨年12月に最新の手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入し、大腸がんや胃がん、前立腺がん、鼠経ヘルニアなどの手術を行っています。症例数は80を超えて(9月26日現在)、大阪府下の大学病院での症例数に匹敵し、大阪府がん診療拠点病院として大きな役割を果たしています。新田医師に話を聞きました。

ロボット手術とは

消化器外科では今や内視鏡下手術が主流です。しかし、この手術では体内に挿入した鉗子を直線的にしか動かせないために操作の自由度が低く、また、視野的にも制限がありました。これを克服し、さらに低侵襲で高度な手術を可能にするために開発されたのが手術支援ロボット「ダヴィンチ」です。日本では10年程前に登場し、改良が重ねられてきました。
ダヴィンチ手術では執刀医はコックピットで解像度の非常に高い3D映像を見ながらコントローラーを操縦して4本のアームを動かし、人の手よりもはるかに大きく曲がり回転する手首をもった鉗子を使って手術を行います。出血量が極端に少なく、回復が早いため抗がん剤治療などの追加治療にも早く移行できます。また、高齢者の術後の肺炎等のリスクも抑えることができます。これまでは手術中に体位変換が必要な場合は鉗子を抜き再度セットしなければならず、30分ほどのタイムロスがありました。これを解消するために体位変換可能な手術台を今回新たに導入し、さらにスムーズに手術を行えるようになりました。
ロボット手術は内視鏡下手術においてスタンダード化しつつあります。現在は大腸がんのみが保険適用ですが、来年度には対象疾患が増える見込みです。

がん診療拠点病院として

2人に1人ががんにかかる今日、当院はがん治療に力を入れてきました。2022年に「がん治療をどこの医療機関で受けるのか」の指標となる「がん診療拠点病院」に指定されました。ダヴィンチを導入したのは、がん治療においても大学病院と同等の高いレベルの医療を、地域の患者様に提供することが当院の目標だからです。もちろん、手術をするだけでなく、初期段階から積極的治療と並行して行われる緩和ケアを多職種のスタッフとチームを組んで行っています。思えば、ダヴィンチ導入後速やかに稼働できたのも、看護師や臨床工学技士など多職種のチームワークの成果です。
地域の医療格差をなくして、遠くの大学病院より家から近くて家族の負担も少ない病院で、高度な治療を受けていただくために、さらに何をすべきか。地域の開業医の先生方とも連携し、今後も私たちは考えていきます。