膝関節について
Q.膝関節の主な疾患は?
A. 若年から壮年期では半月板損傷、軟骨損傷、骨折や靭帯断裂が多く、壮年期から高齢者では
変形性膝関節症が多いです。変形性膝関節症の要因は、半月板や靭帯損傷による外傷を契機とするものや、
経年的に半月板や軟骨の弾性が失われ傷んでいくものがあります。関節軟骨が摩耗する部分によって、
内反変形によるO脚または外反変形によるX脚、お皿と太腿の変形による膝蓋大腿関節症があります。
これを放置すると、変形がどんどん進んで末期状態になります。日本人の場合はO脚変形がほとんどです。
Q.膝関節外傷の治療法は?
A. 半月板損傷や靭帯断裂では、関節鏡を用いて半月板修復や靭帯再建術を行い、疼痛改善、安定性を
再獲得しております。軟骨だけが剥がれているような場合では、別のところから軟骨を採取、培養したのちに
移植する自家軟骨培養移植という方法があります。
また習慣性膝蓋骨脱臼や膝蓋骨不安定症の方にはMPFL再建や脛骨粗面移動術を行っています。

Q.変形性膝関節症の保存療法は?
A. 消炎鎮痛薬の内服、ヒアルロン酸関節注射、膝周囲筋力訓練、サポーターや足底板などの装具療法といった
保存療法があり、これを組み合わせます。
近年ではPRP療法という再生医療に注目されており、当院でもセンター開設に伴い膝関節再生医療を開始しました。
【血液成分を用いた再生治療:PRP療法】
関節の再生医療は、変形性関節症や外傷で失ってしまった機能を “自分由来の組織”を使用して修復を
目指すことです。当院では近畿厚生局の認可を受け、血液から損傷した組織を修復する役目の血小板を
濃縮したPRP液を精製し移植する“PRP療法”を行っております。
血液の中ある、傷を治す働きを持つ血小板を高濃度に凝縮し活性化させたものが、PRP:Platelet-Rich Plasma
(多血小板血漿)です。PRPには抗炎症サイトカインや成長因子などの組織修復因子を多量に含むため、
傷んだ組織に対し炎症の鎮静化や疼痛緩和、組織修復を期待することができます。
ご自身の血液を使用するので、拒絶反応や副作用がなく安全性が高い治療です。
治療効果や効果の持続期間には個人差がありますが、手術をせずに関節の炎症や関節痛の軽減が期待できる
治療法です。当院では採血5分、遠心分離5分、関節内投与5分の短時間で治療を行えるため、
在院時間も短く患者様の体への負担も少なくて済みます。
【費用】
*本治療は保険適用外であるため、治療にかかる費用全額を患者さん自身にご負担いただきます。
200,000円(税抜)
Q.変形性膝関節症の手術療法の選択肢は?
A.手術は変形の進行度によって異なり、多くの選択肢を提供します。
①膝周囲骨切り術
当院ではO脚で内側だけ傷んでいる場合、内側の負担を取るために脛骨側を切る高位脛骨骨切り術、
外側の負担を取るには大腿骨側を切る遠位大腿骨骨切り術、また、脛骨側にも大腿骨側にも変形の
原因がある場合に両方を組み合わせるDouble Level osteotomyなど、各種の骨切り術で変形を矯正して
正常な膝に近づけて症状の改善を図っています。
骨切り部は金属プレートにより固定し、手術から約1年経過した骨癒合後に抜去します。
骨切り術は骨癒合するまで時間がかかる傾向にありますが、ご自身の膝をずっと使っていただけるので、
手術後の可動域も良好で正座可能で、仕事、スポーツ、旅行にも復帰されております。
適応は70歳代までの比較的若い方となることが多いです。
②人工膝関節部分置換術
高齢者で骨癒合の見込みの薄い方で膝関節の内側か外側の片側だけ悪い方には人工膝関節部分置換術を
行っています。部分置換術は侵襲が小さい手術で創は8cn、手術時間は50分であり、術後復帰も早く、
膝関節の安定に重要な靭帯を温存できるため、自分の膝により近い自然な動きを獲得することも可能です。
また当院では両側同時の手術も積極的に行っていることも特徴です。
③人工膝関節全置換術
重度変形や可動域制限がある場合、また荷重部のみならず膝蓋大腿関節に変形がある方には
人工膝関節全置換の適応となります。人工膝関節は術後早期に疼痛が軽減して日常生活動作が
大きく改善します。当院ではコンピューター支援による術中ナビゲーションシステムを用いて、
術前計画通りの再現性の高い手術を行っています。


当センターの治療理念
痛みについてはもちろん、「何ができないのか」、「何をしたいのか」をじっくりお聞きするように
しています。
その患者さんがしたいことが保存治療でできるのか、それでは難しいのか慎重に判断します。
患者さんがやりたいことをやれるように、そうすることで前向きに生きられるように、
関節外科医として最大限のサポートをしたいと考えています。
手術では骨切り術にしても人工関節手術にしてもオーダーメイドな治療を心掛けております。
Q. 複雑な基礎疾患があっても手術は可能?
A. 当院では、脳神経外科や心臓血管外科など高度な手術を行っており、
他科の優れた先生方と連携が取れますので、基礎疾患をお持ちの方も安心して手術を
受けられる環境が整っています。
Q. 城山病院でのリハビリテーションの取り組みについて
A. 回復期リハビリテーション病棟を併設しており、急性期病棟の約3倍のリハビリ時間を
取ることができます。特にスタッフと連携して術後早期のリハビリテーションを強化しています。
可動域や歩容の早期改善を図れることで、患者さんは早期回復を実感でき、退院後の日常生活復帰の
モチベーション向上につながることを期待しています。
Q. 手術の麻酔について
A. 膝関節または股関節の手術では「手術の痛みはどれくらいだろう」と不安があると思われます。
当院では、全身麻酔から醒めた時にできるだけ痛みを感じないように、
腰部から痛み止めを持続的に注射して、痛みを感じにくくさせる硬膜外麻酔を併用しています。
これにより手術の痛みは格段に減らすことができます。
Q. PRP療法をしたいのですが
A. まずは、村上医師の外来診察を受診して頂いた後になります。