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診療科・部門

身体に負担の少ない腰椎手術を行っています

  

 低侵襲脊椎センター 副センター長   米井数基

2019年に設立された低侵襲脊椎センターでは、これまで全身麻酔で行っていた腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアに対して、局所麻酔での内視鏡手術(FESS)を行っています。
 これは高度な技術が求められるもので、国内で対応できる病院もごくわずかです。今回はこのFESSだけでなく、脊椎圧迫骨折に対する手術と脊椎固定手術について米井医師に話を聞きました。

全内視鏡下椎間板摘出手術(FESS)とは

 腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の手術です。従来の内視鏡下手術(MED)よりも内視鏡の直径が半分以下の6ミリになり、局所麻酔で行うことが可能です。
 具体的には背中に8ミリ程皮膚切開を行い、ここから内視鏡システムを挿入し、モニターを見ながら手術を行います。創も小さく、侵襲も少ないために、早期の社会復帰が可能になります。

脊椎圧迫骨折への治療

 骨粗鬆症により骨質が弱くなり、軽微な外傷でも生じてしまうことがある脊椎圧迫骨折は、 60歳代は10%、70代は30%程度の有病率があると言われています。従来の治療はコルセットによる固定が主でしたが、それでも痛みが消えない患者様にはBKP(バルーン カイフォプラスティ)と呼ばれる手術を行っています。これは圧迫骨折で潰れてしまった骨を、骨折前の形に近づけて安定させる治療です。
 具体的には全身麻酔下で、背中に約2~3ミリ切開を行い、そこから骨折した骨の中にカテーテルを挿入後、カテーテル越しに風船を膨らませて潰れた骨を持ち上げて骨折前の形に戻します。風船を抜き、その空間に骨セメントを充填します。レントゲン可視下で行い、手術時間は約30分で、入院期間は1週間以内です。

骨の金属固定手術

 脊柱管狭窄症や変形側弯症など脊椎変形などに対する治療で、脊椎を金属で固定することで痛みやしびれが解消する場合に行います。しかし、従来の手術方法では背中を大きく切開して脊椎にアプローチするため、侵襲が大きく、大量の出血が生じるなどのリスクがありましたが、当センターではこれらを回避する低侵襲な手術(XLIF® ・OLIF® )を行っています。
 具体的には全身麻酔で脇腹を切開し、器具を挿入し、痛みやしびれの原因になっている椎間板を切除しケージを挿入します。脇腹の傷を縫合後、背中側に約2~3㎝の切開を数ヶ所に行い、金属のボルトで背骨を固定します。こちらもレントゲン可視下で行います。さらに先述のFESSでの手術でも金属固定を行うこともできます。

治療が早く受けられ、難しい症例の患者様にも対応

 このように当センターでは腰椎手術の方法が多様で、患者様にとって選択肢が多いのが強みです。さらにレントゲン可視下でのBKPやXLIF・OLIF手術ではナビゲーションを導入し、より正確・安全な手術を可能にしています。
 さらに整形外科から独立していることや、FESS手術は1日最大4件の手術が可能であるため、手術待機時間が短くなり、患者様に喜んで頂いております。また、透析や脳梗塞、心臓病、糖尿病など手術時に特別なケアが必要な患者様も当院の他科と連携し、ワンチームで治療にあたっています。診察は予約なしで受け付けております。他院で撮影された画像などがお手元にありましたらご持参ください。

外来担当表

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